blog index

雑板屋の脳内思考

映評・書評のブログです
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| スポンサードリンク | - | | - | - |
「優しい子よ」大崎善生 
【生と死の物語】

大崎氏の書く小説が好きだ。文体が好きだ。
彼の描く死生観がなんとなく好きだ。
痛感するし共感できるし・・
なんとなく漠然としているけれど、なんとなく好きなのだ。

「優しい子よ」はそんな大崎氏が書いた4つの短編私小説である

・優しい子よ
・テレビの虚構
・故郷
・誕生

表題作‘優しい子よ’・・・不治の病に冒されている少年との出会いは、最初からもう、涙が溢れてどうしようもなくなった。
そばにあるティッシュの箱に手を伸ばそうとしただけで、開いた本のページに涙の雫がポタポタ落ちてしまった。
死がすぐそばにある人間の強さと弱さと優しさが1度にどっさり自分に覆いかぶさった感じ。死と間近にいる人間の底力には、健康体で生きる人間にはなかなか触れられないチカラなのだ。
まさに少年の覚悟が心を突き刺したのだ。
純粋で真っ白な心に惹かれないわけがない。
素直に泣けた。この小説は公衆の面前では決して読めない。
静寂の中で、ゆっくり噛み締めたいとさえ思う。

‘誕生’・・・は大崎氏の息子の誕生を書いたものだ。
またしても感動で泣いている。
たぶん、もうどうしようもなく・・・人間の生命に尊さを感じる・・そんな感動。
父子愛に目覚めていく大崎氏がとてもいい。
息子の誕生を経験した氏は、この先またとんでもなく素晴らしい作品を書いてくれるんじゃないかと期待さえしてしまう。

明らかに、人間の生と死を描いている私小説。
‘あとがき’に書かれている、氏の小説を書くことに対する真摯な姿勢が非常に印象的。
年老いた父親に対する想いは、特に胸を打たれた。

‘優しい子になってくれ’と息子に願う大崎氏。
心温まる優しい小説であった。

優しい子よ「優しい子よ」大崎善生
| ゆきち | 大崎善生  | 15:15 | comments(0) | trackbacks(1) |
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< December 2017 >>

bolg index このページの先頭へ