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雑板屋の脳内思考

映評・書評のブログです
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「LOVE or LIKE」アンソロジー
【男性作家の描く恋愛短編集】

「I love you」に続く男性作家の恋愛短編小説
・石田衣良「リアルラブ?」
・中田永一「なみうちぎわ」
・中村航「ハミングライフ」
・本多孝好「DEAR」
・真伏修三「わかれ道」
・山本幸久「ネコ・ノ・デコ」

6編の贅沢なアンソロジー
中田永一氏の再登場に心がときめく。
今回の作品に乙一の影は見えるだろうか?
後程たっぷりと書くとしよう。

石田衣良氏の「リアルラブ?」はあまりに露骨な性交シーンに引いてしまって、個人的にはあまり好みではなかった。
最近は、氏の作品に触れることよりもメディアに登場する石田氏そのものを追うことの方が個人的に多い気がする。

中村航氏の「ハミングライフ」これは無条件に面白かった。
顔も知らない相手との交信は、そこに相手が存在することを手紙の交信によって確かなものにする。
その二人の仲をバランスよく邪魔にならない程度に見守るのがネコだったりするのが愛しい。
微笑ましくも可愛らしい話で、本書の中では1番笑えて楽しくて読後も幸せな気持ちになれた。

本多孝好氏の「DEAR」は幼少の頃の淡い恋話。
少年たちの友情がとてもいい。大人たちの事情が転校生の一人の女の子を不幸にしているのだが、彼女を守ろうとする3人の男の子たちの三銃士ばりのガードは十分に彼女の支えとなっている。いい思い出。淡い恋の物語。

真伏修三氏の「わかれ道」は高校生の恋愛話。
またしても転校生の女子に恋する話で、ちょっと不器用だけど初々しいようなぎこちなくも優しい物語だ。
主人公の男子高校生は絵を描くのが好きなようで、作中にモネが登場したりと美術には関心があるようで微笑ましかった。

山本幸久氏の「ネコ・ノ・デコ」は輸入雑貨店を経営する女性の話で、あまり恋愛とは無関係のような気がしないでもないが。正直やや苦手な作風。

さて最後は、中田永一氏の「なみうちぎわ」について。
中田氏=乙一の今回のキーワード(あくまでも個人的視点)を挙げてみるとしよう。

その1.キューブリックの登場・・・おそらく「2001年宇宙の旅」を表現しているはずだ。乙一氏はとにかく映画好きである。
邦画も洋画も新作も旧作も、とにかくよく鑑賞している。
さすがに自主制作映画に興味がある乙一は映画に対しても知識は豊富である。時の流れが重要な今作「なみうちぎわ」では、
キューブリックの表現が自然と表れたものだと推測する。
ちなみにこの私も‘キューブリック大先生’とお呼びするほど偉大な映画監督である。

その2.小太郎と担任教師井原=イバラとの関係について・・・。
小太郎を登校拒否児にさせた教師イバラの言動はまさしく乙一の作品「死にぞこないの青」に登場する羽田先生の執拗で陰湿な言動に共通するものがある。
不愉快にさせる教師の存在に、心底立腹した記憶が蘇ったような感覚があったので、本件に自身も気が付いた。

その3.流木か?それとも死体か?
まさにこの発想!どちらかと言えば個人的に、死体であった場合の小説の話の流れを想像する方が面白かったりするのだが・・・。
ただ死体は沈まない。浮くものだ。

以上が今回の、中田永一=乙一 ではないか・・?と考えた点である。あくまでも個人的なものであるが。

今回の中田永一氏の「なみうちぎわ」
少々漢字が少なく、読み辛さもあったのだがそこは敢えて時をとめてしまったためであろう。
主人公には眠っていた空間がある。
なので漢字が少ないのは演出だと思われる。

「LOVE or LIKE」全体的にまとまりはよくなかなか楽しませてもらった。次回も同様のアンソロジーが登場するならきっと手にするに違いない。

Love or like「Love or LIKE」

| ゆきち | アンソロジー | 05:10 | comments(0) | trackbacks(5) |
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