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雑板屋の脳内思考

映評・書評のブログです
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「陰日向に咲く」劇団ひとり
【ひとりくんにちょこっと感動のツボを動かされてしまいました】 

・道草
・拝啓、僕のアイドル様
・ピンボケな私
・Over run
・鳴き砂を歩く犬

劇団ひとりくんの著書「陰日向に咲く」は、気の利いたちょっとした連作短編小説になっている。

登場する人物が、絶妙なタイミングでそれぞれの別のエピソードにひょっこり登場するのだから、読んでいてもとても楽しかったりするわけで・・・。

一人ひとりの人物を大切にしているというか、愛情を注いでいるというか・・・そんなひとりくんの自分の生み出した人物たちに優しさや愛情みたいなものを感じた。

時代設定も、現在もあれば過去もあって、若かりし頃、年老いた頃など、時の流れる部分も様々だけど、人と人との繋がりやすれ違いなど人生の一部分でしかない場面でさえも、もしかしたら色んな偶然だとか奇跡だとかを感じないではいられないような・・・そんなお話。

ホームレスに憧れてるサラリーマンだとか、一人のアイドルを追いかけてる純粋な青年だとか、ロクに稼ぎもしないのに一攫千金狙いを恐れもなしにやってしまうヤツだとか、調子に乗ってつい友人同士の男の子たちと寝てしまう女の子だとか、ストリッパーに恋焦がれてる売れない芸人だとか・・・。

登場人物は、どちらかと言えばダメっぷりがお見事だけど、平凡で極普通の人々。
多少弱い面もあるけれど、ほんとはまともに明るく前向きに生きたいと願う人々。
それでも、頑張って生きてる。とにかく生きてる。やっぱり生きてる。
・・・・そんな感じ。

読後はとても温かい気持ちになれたし、優しい自分にもなれた。読後の感情って、自分にとってはとても大切。
だから、こんな小説って読んだ方が・・出会えた方が幸せだって思う。

ひとりくんの次回作を期待する人間がここにもひとり!

陰日向に咲く「陰日向に咲く」劇団ひとり
| ゆきち | 作家 か行 | 12:53 | comments(2) | trackbacks(4) |
「UNKNOWN」古処誠二
【キリマンかカフェオレかそれともモカか・・・】

舞台は航空自衛隊基地。
侵入不可能な一室に盗聴器が仕掛けらていたことが発覚。
防諜より派遣された防衛部調査班の朝香二尉と、警戒監視隊の野上三曹の二人は極秘の調査を行うこととなる。

軽快で軽妙な会話と自衛隊内部での殺人の起こらない重大事件の重さが奇妙にマッチしている。
自衛隊そのものの組織と自衛官らの日常が、珍しくもあり新鮮であったため、非常に興味深く読むことが出来た。

話の展開は、それこそコーヒーブレイクタイムが頻繁にあるように、ゆったりと・・・決して慌てることなく必ず事件が解決することを確信させてくれる不思議なテンポがあって、読者のこちらもややゆったりと事件の解明を楽しんだように思う。

著者である古処誠二氏。
今作「UNKNOWN」がデビュー作だ。
彼の著書を読むのは本書が初めてだ。以前から気になっていて、1度読むとさらに・・となかなか定評のある作家だ。
氏は元は航空自衛隊・自衛官であったそうだ。
その自衛官時代に読んだ宮部みゆき氏の「かまいたち」がきっかけとなり、小説の世界に没頭したとのこと。
以後は退官し作家の道を歩み始めた。

独特の世界観を描けるのは、まさにその場の経験者であるから。読者としては、未知の世界を知ることこそ本望である。

古処誠二・・・今後も追いかけたい作家となった。

Unknown 「UNKNOWN」古処誠二
| ゆきち | 作家 か行 | 03:21 | comments(0) | trackbacks(1) |
「古道具 中野商店」川上弘美
‘だからさあ、なかなかいいんだって、この本!’

古道具 中野商店の店主中野さん風に言えば、こんな調子である。

川上弘美氏の著書はコレが初。
女性作家を元々苦手とする私が、珍しく本書に興味を持ったのは、至って単純。時々拝見するNHK週間ブックレビューのTV番組の中で紹介されていたからだ。

古道具 中野商店に働く人々・・店主の中野さんをはじめバイトのヒトミにタケオ、中野さんの姉貴のマサヨさん、中野さんの愛人サキ子さん・・・などなど、魅力ある人々が登場する。

ちょっとほのぼのして、それでいて時々ドキドキして・・・決して甘くないヒトミとタケオの恋愛模様や、やっぱり変わってる中野姉弟の仲の良さや、中野商店そのものの存在感が、心地よく伝わってくる。
店先に出されたベンチの上に並ぶ、古い型のタイプライターや亀や兎の文鎮・・・そんなものさえ味わい深さを感じる。
なんだろう?この懐かしいような近寄ってみたくなる中野商店って店は・・・。
とにかく雰囲気がイイ!
そこに働く人々の人間模様も、自分には近いような・・決して遠くない存在のような・・そんな魅力というか‘味’がある。

上手くいくようないかないような、そんなもどかしい若い恋愛も、十分に知り尽くした愛を通り越したような熟練愛も、みんなとにかく人間臭いのだ。
登場する人物の世代がやや広めで、それなりの恋愛模様を見ることもできて、共感できる部分と、まだまだ大人になりきれていない自分に気付くことさえある。
年齢性別に関係なく、人間臭くて生々しい感情には、やっぱりグっとくるものがあって、ちょっと感動したりする。

読み終えたときには、‘再生’の言葉がまずは脳裏に浮かんだ。とても清々しい再生。
人間の成長は、経験と出会いによって左右されるもの・・だと漠然と感じた。

今の私には、程遠い‘再生’という人生の前向きの感覚を与えられたような気がしたこの「古道具 中野商店」は、とても居心地のいい店であった。

興味があるなら一度は寄ってほしい「古道具 中野商店」だ。
古道具中野商店「古道具 中野商店」川上弘美
| ゆきち | 作家 か行 | 06:28 | comments(2) | trackbacks(2) |
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