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雑板屋の脳内思考

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「奪取 上下巻」真保裕一 
【偽札造りに捧げる情熱】 

‘偽札造りのKNOW HOWが学べるスゴイ小説なんだってば!!’
こんな調子で興奮気味に本書をお勧めしてくれたのは、職場の活字仲間のKさんだった。
御年配のkさんは、二人の息子を共に京大生に育て上げた尊敬すべき良妻賢母だ。
そのkさんに‘真保裕一の奪取がおもろいんや〜!おかんも読んでみ〜!’とお勧めしたのはその京大生の次男坊。
その次男坊にお勧めしたのは同じく京大生の友人。

お勧めの輪がついにこちらにも巡ってきて‘そりゃ読まなあかんな〜’と至って呑気にあくまでもマイペースで・・読んでみることにした。

ヤクザの街金にはめられて、莫大な借金を抱えこんでしまった22歳の若者が、友人と二人で偽札造りにのめり込んでいくという話。
若者二人がとにかく偽札を造り始めた当初は、デカい犯罪を計画的に試みようとするのだから、なんとなく危なっかしいやら、ぎこちないやらで、即失敗に終わるんじゃないかと・・いろんな意味で緊張感が湧いた。
ところが、そんな犯罪を頑張ってる二人の間に、一人のヘンなじじいが登場し出してからは、トンデモな状況に陥っていくのだが・・・期待以上に、俄然話が面白くなっていく。

ここからはほとんど一気読みだった。

偽札造りが本格的に始動し、紙からインクから、何から何までほとんど手作り。・・・彼ら独自のオリジナルで精密な偽札が創り上げられていくのだ。
なんとも豪快、愉快、爽快。
偽札造りの情熱は半端なものじゃない。
クールだけどユーモア溢れる会話や、個性的な登場人物など、場を飽きさせない話の流れもとてもおもしろかった。
年月をかけ、歳を重ねても偽札造りの情熱は冷めることなく熱く滾る一方で、このスケールの大きな犯罪をいつの間にかこちらまで真剣に応援していることに気が付く・・・。
‘どうか、上手くいきますように!’と。

例えば自分の所持金とは無関係に、仕事上お札を手にする機会が多ければ、偽札なんてものは、すぐに気が付く。現に過去に1度だけ、千円紙幣1枚の偽札を手にしたことがあるので、紙質や軽さや指触り、また色味なんかで偽札の持つ異質を見抜くことができると思う。職場ではその偽札に異様に皆が盛り上がり、その場にいた者のほとんどが手に取りそれぞれが必死に独自の鑑定をした。
そんな状況を上司は笑いながら「指紋をたくさん付けるものじゃないだろうに・・」と
後に部下を軽く叱咤することとなった。
警察が来て、その偽札を手にした者全員が、指紋を採られた。
勿論、我が人生、初体験の指紋採取であった。
面白い経験をしたと・・今では懐かしく思う。

さて小説の結末の括りもお見事で、そこにはもう‘笑い’しかなかった。
意表を付いた結末の方向性が、あまりにも愉快だった。

偽札造りの熱い情熱を描いた長編小説「奪取」
一度、その偽札の出来栄えを想像してみてはどうだろう?
長編もお好みな方へ是非お勧めしよう。

奪取(上) 奪取(下)
| ゆきち | 作家 さ行 | 10:55 | comments(0) | trackbacks(1) |
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「奪取 上下巻」真保裕一
【偽札造りに捧げる情熱】  ‘偽札造りのKNOW HOWが学べるスゴイ小説なんだってば!!’ こんな調子で興奮気味に本書をお勧めしてくれたのは、職場の活字仲間のKさんだった。 御年配のkさんは、二人の息子を共に京大生に育て上げた尊敬すべき良妻賢母だ。 そのk
| 雑板屋 | 2006/09/28 10:57 AM |
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